2023/06.05
虐待の種類および不適切ケア~自分は加担していないか確認しよう~
今回のコラムは虐待防止および不適切ケアについて記事にさせていただきました。
近年、ニュース等で介護施設における高齢者虐待を目にすることが増えてきました。
もちろん虐待はご利用者様の尊厳を脅かす大変大きな問題です。
虐待の種類には大きく分けて5種類あると言われています。
①身体的虐待
叩く、殴る、蹴る、つねる、無理やり食事を口に入れる、部屋に閉じ込める等
②介護・世話の放棄・放任(ネグレクト)
食事を十分に与えない、不潔な住環境で生活をさせる、病院に受診させない等
③心理的虐待
怒鳴る、脅す、悪口を言う、仲間外れにする、子ども扱いする、わざと無視をする等
④性的虐待
性器への接触、性的行為への強要、裸にする、キスをする、わいせつな画像を見せる等
⑤経済的虐待
年金や賃金を渡さない、財産や貯金額を着服する、日常生活に必要なお金を与えない等
虐待を防止するためには発生した事案だけに対処するだけではなく、虐待が表面化する以前にあったはずの「不適切なケア」に早い段階で気付くことが大切になります。
不適切なケアとは、明確に虐待であるとは言い切れないものの、適切であるとも言えないような「グレーゾーンのケア」を指します。
例えば、以下のような行為は不適切なケアと言えます。
レ 友達感覚で接したり子ども扱いしたりする
レ あだ名や〇〇ちゃん呼び、呼び捨てにする
レ 威圧的な態度や命令口調で接する
レ 声がけをせずに介助したり、居室に入ったり、私物を触ったりする
レ プライバシーに配慮せずスタッフ様同士で話題にしたり個人情報を扱ったりする
レ 頻繁に「ちょっと待って」と言い、長時間待たせる
レ 日用品や生活に必要な道具が壊れたままになっている
レ ご利用者様からの呼びかけやコールを無視したり、意見や訴えに否定的な態度を取ったりする
レ 食事や入浴介助の無理強いなど、ご利用者様に嫌悪感を抱かせるような援助をする
レ ご利用者様の身体で遊んだり人格を無視した関わりをしたりする
レ ご利用者様やそのご家族の言動をあざ笑ったり、悪口を言ったりする
レ プライバシーへの配慮に欠けたケアを行っている
レ ご利用者様に対して乱暴で雑な介助や、いい加減な態度・受け答えをしている
これらはすべて不適切ケアに値する内容です。
このような不適切なケアが改善されないまま放置されると、エスカレートして虐待につながってしまいます。そのため、上記のようなケアを早期に気づき対処することが必要です。
虐待はいかなる理由があれ起こしてはいけません。また、他人が行っていることを見て見ぬふりをするのは自身も虐待に加担しているといっても過言ではありません。
高齢者虐待は、何の兆候もなく突然発生するのではなく、不適切なケアの延長にあるものです。それぞれのスタッフがご自身のケアを振り返ったり、他のスタッフのケアを観察したりして、日常的に小さな虐待の芽を摘んでいくことが大切になります。
また、スタッフ個人の努力だけでなく、チームや組織全体で情報を共有してケアを振り返り、適切な対応を検討・実行していけるように体制を整えることも重要です。
日本国憲法でも最も大切な3原則の内の1つでも上げられるように「基本的人権の尊重」は守らなくてはなりません。人権を尊重した介護をしていくことをこれからも心がけたいですね。
参照資料
花王プロフェッショナル業務改善ナビ
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