2021/02.15
介護職の派遣でも扶養内で働ける?扶養範囲内の条件と働き方
「派遣でも扶養範囲内で働ける?」という質問をいただくことがあるのですが、もちろん大丈夫です。
派遣=フルタイム勤務というイメージが強い方もいるようですが、実際は短時間勤務OKなど、勤務時間に融通の利く職場もあります。
今回は、扶養範囲内の条件や働き方について解説。仕事を探す際の参考にしてください。
「扶養」とは、自立した生活が難しい家族(厳密には親族)を助けて養うこと。助けてもらう立場の家族を税制上では「控除対象配偶者」「扶養親族」といい、社会保険上では「被扶養者」といいます。
たとえば、夫の給与のみで生活している家庭の場合、一緒に暮らす妻は「控除対象配偶者」「被扶養者」です。
扶養は「税制上の扶養」「社会保険上の扶養」という2つの意味に分けられ、税負担の軽減や家族分の保険料を負担しなくてよいというメリットがあります。
そのメリットを得るためには、扶養に入っている側の収入が、一定の範囲内であることが条件。いわゆる「扶養内で働く」というのは、その範囲内の収入に抑えて働くことです。
先ほどお伝えしたとおり、扶養内か扶養対象外となるかは配偶者の収入次第。金額の上限を「103万円の壁」「106万円の壁」などと表現するのが一般的です。
本項では、夫が扶養する側、妻が扶養に入っている側のケースを例に、年収の壁と扶養の詳細について解説します。
まずは、意識しておきたい年収の壁と扶養の概要についてお伝えします。
・103万円の壁:夫が配偶者控除を受けることができ、税負担が軽減される。妻も所得税が掛からず住民税も少額で済む上限
・106万円の壁:夫の社会保険の被扶養者でいられる上限。超えると妻自身が勤務先の社会保険に加入しなくてはならない(妻が特定適用事業所で勤務する場合に限る)
・130万円の壁:年収106万円以上の妻が、夫の社会保険の被扶養者でいられる上限。超えた場合は妻自身の勤務先で加入義務が発生
・150万円の壁:配偶者特別控除が満額の38万円で受けられる、夫の税負担が軽減される上限。超えると段階的に控除額が減額
・201万円の壁:配偶者特別控除が受けられるボーダーライン(厳密には201.6万円未満)
夫、妻それぞれの収入によって、所得税、住民税が軽減されます。
《扶養控除》
納税者に控除対象扶養親族となる人がいる場合には、納税者である夫の収入から扶養控除額を差し引いて、課税所得金額とすること。
課税対象となる所得金額が減るため、所得税や住民税が減額されます。
《配偶者控除》
妻の収入がない、もしくは少ない(年収103万円以下)場合、納税者である夫の税負担が軽減される制度。
控除額は最大38万円ですが、夫の年収が(給与所得のみの場合で)1,095万円超で控除額が段階的に減額され、1,195万円超になると控除を受けることができません。
《配偶者特別控除》
妻の年収が103万円を超えた場合に適用となり、201万円までは段階的に夫の税負担が軽減される制度。
控除額は、配偶者控除と同様に最大38万円ですが、妻の年収が201.6万円以上となった場合、夫の年収が1,195万円を超えた場合は控除を受けることができません。
妻の年収が106万円または130万円未満の場合は、夫の被扶養者となり、保険料の支払いはありません。もし被扶養者である妻が60歳以上、または障害を持っている場合は180万円未満に拡大されます(※1)。
以下の①②どちらかの条件を満たす場合、妻自身の勤務先で健康保険と厚生年金に加入する義務があるため、注意しましょう。
■以下の条件をすべて満たす場合
✔厚生年金保険の被保険者の総数が501人以上の勤務先(特定適用事業所)に在籍(※2)
※当社は特定適用事業所ではありません
✔収入が月88,000円以上(年収約106万円以上)
✔雇用期間が1年以上見込まれている
✔所定労働時間が週20時間以上
✔学生ではない(夜間、定時制、通信は除く)
②①の条件を満たしてないものの、年収130万円以上の場合
(※1)・同居の場合:自身の収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満
✔別居の場合:自身の収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満
(※2)500人以下でも社会保険加入について被保険者の同意を得た会社に在籍していれば対象
※制度の内容については2020年11月時点のものです。最新の情報については官公庁Webサイトをご確認ください
先ほどお伝えしたとおり、年収によって受けられる配偶者(特別)控除、社会保険の有無は変わってきますが、派遣でも扶養内の勤務は可能です。パートナーと相談して、どの範囲で働きたいのかを明確にしておくと良いでしょう。
各年収のボーダーライン別で、目安となる月収金額の上限を、下記に挙げましたので参考にしてください。
●103万円以下:月収85,000円まで
●106万円以下:月収88,000円まで
●130万円以下:月収108,000円まで(交通費含む)
●150万円以下:月収125,000円まで
●201万円以下:月収167,500円まで
また、希望の扶養範囲内で働けるかどうかは、時給や勤務日数との兼ね合いもあるため、気になる求人と照らし合わせてみるのも良いでしょう。
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